噛み合わせが悪いとどうなる?全身への影響あるのか?

噛み合わせが悪いと、単に食べ物を噛むのが難しくなるだけでなく、予想外の全身的な影響も引き起こす可能性があります。

疲労感、頭痛、肩こり、顎の痛み、そしてさらには消化器系の問題まで、あなたが体験している様々な不快な症状は、思いもよらないところで口腔内のバランスの乱れに根ざしているかもしれません。

本記事では、噛み合わせの問題が健康全体に及ぼす影響と、それを改善するための情報を詳しく解説します。

噛み合わせが悪いとどうなる?(全身への影響)

噛み合わせが悪い場合、全身への影響としては、以下が可能性として挙げられます。

  • 顔の歪み
  • 頭痛
  • 口臭
  • 偏頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 虫歯や歯周病
  • 歯痛
  • 耳鳴りやめまい
  • 顎関節症
  • 自律神経の乱れ

1つずつ解説していきます。

顔の歪み

歯と歯が適切に接触しない不正咬合は、深刻な影響を顔の形状に及ぼします。骨格や筋肉に影響を与えるからです。

具体的には、噛む力は顎の発育に大きな役割を果たします。咬むことにより生じる適度な刺激は、顎骨の健康的な発育を促進し、バランスの良い顔の形状を保つのです。

しかし、噛み合わせが悪いとこの力のバランスが崩れ、顎の成長が一部偏ったり、筋肉の発達が不均衡になったりします。それが原因で顔が左右非対称になったり、あごが前に出たり引っ込んだりといった歪みが生じるのです。

また、噛み合わせが悪いことにより、顎周辺の筋肉に過度な負荷がかかると、筋肉の緊張から顔全体のバランスが崩れることもあります。

その結果、不自然な表情や、ほうれい線の深まり、目の下のたるみなどといった変化を招くこともあります。これらは全て、噛み合わせの影響がどれほど大きいかを示しています。

頭痛

口腔内の問題が頭痛を引き起こす可能性があります。

噛み合わせが悪いと、それにより咬筋や頭頸部の筋肉が過度に緊張します。この筋肉の緊張は、しっかりとした診断がないと原因を特定するのが難しく、しばしばストレスや疲労などの一般的な要因によるものと誤解されがちです。

しかし、その背後には不正咬合による筋肉のバランスの乱れが隠れていることも多いのです。これらの筋肉の持続的な緊張は、偏頭痛や緊張型頭痛などの頭痛を引き起こすことがあります。

また、噛み合わせの問題は顎関節にも影響を及ぼすことがあり、これが顎関節症として表れることもあります。顎関節症は、耳の近くで痛みを感じるだけでなく、広範囲の頭痛を引き起こす可能性もあるため、頭痛の一因となり得るのです。

口臭

噛み合わせが正しくないと、食物の咀嚼が不十分になり、食物のかすが口腔内に残りやすくなります。

これにより、口腔内での食物の分解が進み、その過程で悪臭を引き起こす物質が発生します。また、噛み合わせが悪いことで歯並びが乱れると、歯ブラシだけでは清掃しにくい部位が出現します。これらの部分でのプラーク(歯垢)の蓄積が進むと、バクテリアが繁殖しやすくなります。

口腔内のバクテリアは、歯垢を分解する過程で硫化水素やメチルメルカプタンといった口臭を引き起こす物質を生成します。これらのガスが口臭の主な原因となるのです。

さらに、不正咬合により歯周病を引き起こすリスクが高まると、口臭の原因となるバクテリアが増加し、さらに口臭が強くなる可能性があります。つまり、噛み合わせの問題は直接的にも間接的にも口臭を悪化させる可能性があるのです。

偏頭痛

噛み合わせが悪いと顎関節や咀嚼筋に過剰なストレスがかかり、これが偏頭痛を引き起こす要因となることがあります。噛み合わせが不均衡であると、口を閉じるために必要な筋肉の力が一部の筋肉に偏ります。

特定の筋肉群が過労となり、筋肉の緊張や痛みが生じます。その結果、筋肉の緊張は顎関節への圧力を増加させ、それがさらに偏頭痛を引き起こす可能性があります。これは、顎関節が頭蓋骨のすぐ下に位置しており、顎関節の異常や緊張が頭蓋骨と脳に影響を及ぼす可能性があるからです。

また、不正咬合による筋肉の緊張は、頭の側面や後部にある大きな筋肉、特に側頭筋や項部筋に影響を及ぼす可能性があります。これらの筋肉が過度に緊張すると、それが頭痛や偏頭痛の引き金となることがあります。

さらに、これらの筋肉の緊張は長期間にわたって続くと、慢性的な偏頭痛を引き起こす可能性があります。これらの一連の過程は、噛み合わせの問題が偏頭痛を引き起こす一因となりうることを示しています。

肩こり

噛み合わせが悪い状態が続くと、それを調節しようとするために頭部や首、肩の筋肉に余計な負担がかかります。特に、顎関節は首や肩と筋肉を通じてつながっているため、そのストレスが伝播しやすいのです。

噛み合わせが悪い状態で食事をすると、適切に咀嚼するために咀嚼筋が過度に動きます。それにより、顎関節や顔面の筋肉に過剰な負荷がかかり、それが首や肩へと続いていきます。その結果、頸部の筋肉の緊張や肩こりを引き起こす可能性があります。

さらに、不適切な噛み合わせは顎関節の位置をずらすこともあります。顎関節が正常な位置からずれると、それを補正しようとする筋肉の動きによってさらに肩こりが悪化します。

このように、不正咬合は首や肩の筋肉への負荷を増大させ、それが肩こりを引き起こす一因となることを示しています。そのため、長期間にわたる肩こりが改善しない場合は、歯科医による噛み合わせの検査が推奨されます。

腰痛

噛み合わせが悪い状態は、首や肩、さらには背中や腰へと続く一連の筋肉へ過度な負荷がかかります。これが、腰痛の一因となることがあります。

私たちの顎は頭骨の一部であり、頭骨は脊椎と直接繋がっています。したがって、顎の位置や動きが変わると、それが首や背中、さらには腰へと影響を及ぼします。これは、私たちの体がバランスを保つために脊椎の形を調節しようとするからです。

その結果、脊椎や背中の筋肉に過度なストレスがかかり、腰痛を引き起こす可能性があります。

また、不適切な噛み合わせによる顎関節の不調は、全身の姿勢に影響を及ぼす可能性があります。正しい姿勢が崩れると、それが腰に余計な負荷をもたらし、腰痛を引き起こす可能性があります。

したがって、腰痛を長期間にわたって繰り返す場合、歯科医による噛み合わせの検査が推奨されます。これは、噛み合わせの問題が腰痛の一因となる可能性があるためです。

虫歯や歯周病

噛み合わせが適切でない場合、歯と歯が正しく接触しないため、食物が適切に咀嚼されません。結果として、食物の粒子が歯間や歯肉の間に詰まりやすくなります。これらの食物の残りかすは、バクテリアの増殖を促し、その結果、虫歯や歯周病の原因となる可能性があります。

また、噛み合わせが悪いと、ブラッシングやフロスでの清掃が困難になることもあります。これにより、適切な口腔衛生が維持できず、虫歯や歯周病のリスクを増加させます。

さらに、噛み合わせが不適切な場合、一部の歯に過度な負荷がかかる可能性があります。この過度な負荷は、歯の摩耗を早め、歯へのダメージを引き起こし、結果として虫歯や歯周病のリスクを増大させます。

これらの理由から、噛み合わせが悪い状態が続くと、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。そのため、噛み合わせに問題を感じる場合は、早期に歯科医に相談することが重要です。

歯痛

噛み合わせが適切でない場合、一部の歯に過度な圧力がかかる可能性があります。この過度の圧力は、歯の感受性を高め、歯痛を引き起こす可能性があります。

噛み合わせの問題は、顎関節症(TMJ)の一因ともなります。TMJは、顎関節やその周辺の筋肉に痛みや不快感を引き起こし、これがさらに歯痛につながることがあります。また、顎関節症は噛む、話す、あくびをするなどの動作に困難をもたらす可能性もあります。

また、噛み合わせの問題は、歯の損耗や歯の破損、さらには歯根折れの原因となることもあります。これらの問題は、感染や神経損傷など、歯痛の一因となる可能性があります。

このように、噛み合わせが適切でない状態が続くと、歯痛のリスクを高める可能性があります。そのため、噛み合わせに問題を感じる場合は、早期に歯科医に相談することが重要です。

耳鳴りやめまい

噛み合わせの不均衡は、顎関節症(TMJ)を引き起こす可能性があります。顎関節は耳のすぐ近くに位置しており、この関節に問題が生じると、耳鳴りやめまいといった症状を引き起こすことが知られています。

また、噛み合わせが適切でない場合、口腔周囲の筋肉に過度なストレスがかかり、特に顎や顔の筋肉に緊張をもたらす可能性があります。これらの筋肉は耳周囲と密接に関連しており、筋肉の緊張が耳鳴りやめまいの一因となることがあります。

さらに、噛み合わせの問題は、首や背中の筋肉にも影響を与えます。これは頭部のバランスを崩し、バランスをとるための内耳の機能に影響を及ぼし、めまいを引き起こす可能性があります。

顎関節症

噛み合わせが適切でない場合、顎関節、つまり口を開け閉めする際に働く関節に不適切なストレスをもたらす可能性があります。顎関節は、耳の前方で顎の骨と頭蓋骨を結びつける非常に複雑な関節で、私たちが話す、噛む、あくびをするなどの動作を可能にしています。

噛み合わせが悪いと、顎関節に過度なプレッシャーがかかることがあり、これが関節症の一種である顎関節症を引き起こす可能性があります。顎関節症は、顎の痛みや不快感、頭痛、耳鳴り、噛む時の痛み、あるいは口の開閉が困難といった症状を引き起こすことがあります。

また、顎関節症は、長期的には関節の劣化や機能低下を引き起こす可能性もあります。これらの問題は、さらなる痛みや動きの制限を引き起こす可能性があります。

自律神経の乱れ

噛み合わせが悪いと、ストレスとなり自律神経に影響を及ぼす可能性があります。自律神経は、私たちの体の様々な機能、例えば心拍数、呼吸、消化、血圧などを調節しています。

これらの機能は意識的な思考や制御から独立していますが、ストレスは自律神経に影響を与え、体のバランスを乱す可能性があります。

噛み合わせが悪いと、咀嚼筋や顎関節に過剰なストレスがかかります。これが長期間続くと、このストレスが自律神経系を刺激し、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。自律神経が乱れると、睡眠障害、食欲不振、頻繁な頭痛、めまい、動悸、冷え性、不安感などの症状を引き起こすことがあります。

噛み合わせが悪いとどうなる?(その他)

噛み合わせが悪いと、全身に影響が出る以外にも、さまざまな弊害があります。

  • 咀しゃく機能が低下する
  • 詰め物・被せ物に負担がかかる
  • 発声がしにくくなる

1つずつ紹介していきます。

咀しゃく機能が低下する

噛み合わせが悪いと、咀嚼(そしゃく)機能が低下する可能性があります。

噛み合わせが適切でないと、歯が正常に機能せず、食べ物をしっかりと噛むことができません。歯と歯がきちんと接触しないと、噛む力が分散され、食物を効率的に咀嚼することが難しくなります。

咀嚼機能が低下すると、食物が十分に細かくならずに飲み込まれるため、胃腸に余計な負担をかける可能性があります。また、食物をしっかり噛むことで唾液の分泌が促され、口腔内の環境を健康に保つ役割もあります。咀嚼機能が低下すると、これらの機能も低下し、虫歯や口臭の原因となる可能性もあります。

また、噛むことは脳に刺激を与え、記憶力や集中力を高めるとも言われています。そのため、咀嚼機能の低下は、これらの脳機能にも影響を及ぼす可能性があります。

詰め物・被せ物に負担がかかる

噛み合わせが悪いと、歯の詰め物や被せ物に過度の負担がかかる可能性があります。

噛み合わせは、私たちの口腔内のバランスを保つ重要な要素です。もし噛み合わせが悪い状態であると、これによって歯が正常に動作しないことで、詰め物や被せ物に対して異常な圧力が加わる可能性があります。

通常、噛む力は全ての歯に均等に分散されますが、噛み合わせが悪いと一部の歯に力が集中してしまうことがあります。その結果、詰め物や被せ物が置かれた歯に対する力が増大し、それらの耐久性に影響を与える可能性があります。例えば、過度の圧力が続くと詰め物が取れやすくなったり、被せ物が破損する恐れがあります。

発声がしにくくなる

噛み合わせは、口の中での舌の位置や動きを含む、一連の口腔内の動作に大きな影響を与えます。これらの動作は、音声を形成する際にも重要な役割を果たします。したがって、噛み合わせが悪いと、舌の動きが妨げられ、結果として発声がしにくくなる可能性があります。

特に、”s”や”th”などの音は、舌の位置と上歯の位置が非常に重要です。噛み合わせが悪いと、これらの音を発する際に必要な正確な舌と歯の位置を確保することが難しくなる可能性があります。さらに、噛み合わせが悪いと、舌や唇、顎の動きが制限され、正確な音を出すのが難しくなることもあります。

また、噛み合わせが悪いことで口を閉じるのが困難になる場合、これが声の響きや音量に影響を及ぼし、さらに発声を難しくする可能性があります。

噛み合わせが悪くなる原因

噛み合わせが悪くなる原因は、以下5つが考えられます。

  • 遺伝
  • 指しゃぶりや舌癖
  • 歯が抜けたまま放置している
  • 歯の数が多い、少ない
  • 顎の骨の大きさと歯のバランスが悪い

1つずつ紹介していきます。

遺伝

私たちの口腔構造、つまり顎の大きさや形状、歯の大きさや位置などは、遺伝によって一定の影響を受けます。これらの要素が歯列の配置や噛み合わせの形成に影響を与えるため、遺伝は間接的に噛み合わせの問題を引き起こす可能性があります。

例えば、両親がともに小顎症(下顎が通常より小さい状態)である場合、子供も小顎症になる可能性が高く、これは下顎の歯が正しく上顎の歯と噛み合わせない問題を引き起こすことがあります。

また、歯の大きさが遺伝的に決まる場合、大きな歯が小さな顎に収まらないために歯並びが乱れ、結果として噛み合わせが悪くなる可能性もあります。

指しゃぶりや舌癖

指しゃぶりや舌癖、口呼吸などの口腔内の悪習は、歯や顎の正常な成長を妨げる可能性があります。これらの行為は、特に乳歯期から永久歯期への移行期や成長期に行われると、歯列や顎の発育に影響を与え、結果として噛み合わせが悪くなる可能性があります。

例えば、指しゃぶりは、上顎の成長を阻害し、下顎が前方に伸びるのを助けるため、顎の成長パターンを変える可能性があります。これは「開放咬合」(上下の前歯が噛み合わない状態)や「前突咬合」(上の前歯が下の前歯よりも前に突き出ている状態)といった噛み合わせの問題を引き起こす可能性があります。

また、舌癖(舌を前歯の裏に押し当てる癖)は、歯に対して不適切な力を与え、前歯の位置を変え、前突咬合を引き起こす可能性があります。これらの習慣はしばしば無意識に行われ、その存在自体が認識されにくいため、早期の発見と改善が重要となります。

歯が抜けたまま放置している

歯が一本でも欠けていると、その空間が存在することで周囲の歯が動き、位置を変える可能性があります。特に、歯が失われたところに適切な補綴物を装着せずに放置すると、隣接する歯がその空間に向かって倒れ込んだり、対向する歯がその空間に伸びてきたりすることで、噛み合わせに問題を生じる可能性があります。

これにより、噛む力が均等に分散されず、一部の歯に負荷が集中する「部分咬合」が起こり、歯や歯肉、顎関節に過度なストレスを与えることになります。さらに、噛む力のバランスが崩れることで、顎関節症や歯周病、さらなる歯の損失のリスクも高まります。

そのため、歯が欠損した場合は、できるだけ早く適切な補綴治療を受けることが重要です。

歯の数が多い、少ない

歯の数が通常より多い、いわゆる多数歯症の場合、歯の配置が密集し、それが正しい噛み合わせを阻害します。異常な数の歯が生えることで、通常の位置を保てずに歯並びが乱れ、適切な噛み合わせを形成することが難しくなります。

逆に、歯の数が通常より少ない場合、いわゆる少数歯症では、適切な咀嚼機能を保つのが困難となります。適切な咀嚼のためには、上下の歯がきちんと対応していなければならないため、歯が少ないと適切な噛み合わせが形成できません。

このように、歯の数が通常と異なると、それぞれが持つ固有の問題から噛み合わせが悪くなる可能性があります。

顎の骨の大きさと歯のバランスが悪い

人間の口腔内は、歯と顎の骨が適切に調和することで、正常な噛み合わせを保持します。顎の骨の大きさが平均的なサイズと比較して大きいか小さい場合、歯の配置に影響を及ぼす可能性があります。

顎の骨が大きすぎると、歯が適切に位置取りしにくくなる可能性があります。反対に、顎の骨が小さいと、歯が適切に並ぶスペースが不足し、歯並びが乱れる可能性があります。どちらの状況でも、適切な噛み合わせの形成が阻害されます。

したがって、顎の骨の大きさと歯のバランスが不適切であると、噛み合わせに問題が発生しやすいです。

歯並びと噛み合わせは別問題

歯並びと噛み合わせは、関連性はあるものの、それぞれ異なる問題として考えるべきです。

一見すると、歯並びと噛み合わせは同じ問題に見えるかもしれませんが、それぞれ独自の特性と問題を持つため、個別に対処する必要があります。

歯並びは、前方から見た時の歯の直線的な配列を指し、見た目や笑顔の美しさに大きな影響を及ぼします。一方、噛み合わせは上下の歯がどのように接触し、力を分散するかを表すもので、ここに問題があると食事時の咀嚼機能に影響を及ぼすことがあります。

したがって、歯並びが整っていても、噛み合わせが適切でない場合は食事時の効率や口腔内の健康に影響を及ぼす可能性があります。

逆に、噛み合わせが良好であっても、歯並びに問題があると、見た目や発音に影響を及ぼす可能性があります。

噛み合わせの悪さは放置していても改善されない

噛み合わせの問題は自然に改善されることはなく、放置するとさらに状態が悪化する可能性があります。

噛み合わせは、上下の歯がどのように組み合わさっているかを示すもので、その均衡が崩れると口腔内の健康や全身の健康に影響を与えます。

噛み合わせの問題が存在すると、歯や顎の骨に過剰な圧力がかかり、これが歯の摩耗、顎関節症、筋肉の緊張や痛みなどを引き起こします。これらの問題は時間と共に増大し、新たな問題を生む可能性もあります。

したがって、早期に適切な治療を受けることが、問題の悪化を防ぎ、健康な口腔状態を維持するための最善の策です。歯科医師は噛み合わせの問題を正確に診断し、矯正治療や顎関節症の治療など、患者に最適な治療計画を立てることができます。

正しい噛み合わせのチェックポイント

正しい噛み合わせをチェックする際に、歯科医師が注目するポイントは以下のとおりです。

上下の前歯

 上下の前歯が適切に接触していることを確認します。上の前歯が下の前歯を軽く覆っている状態が理想的です。

歯列

歯が整然と並んでいることを確認します。歯が重なったり、斜めになっていたりすると噛み合わせに影響します。

咬み閉じた時の感覚

全ての歯が同時に軽く接触する感覚があることが理想的です。一部の歯だけに圧力が集中している場合、噛み合わせに問題がある可能性があります。

頬や舌への食べ物の詰まり

正常な噛み合わせでは、食べ物が頬や舌に詰まることは少ないです。頻繁に食べ物が詰まる場合は噛み合わせに問題がある可能性があります。

歯ぎしりや歯食いしばり

歯ぎしりや歯食いしばりの癖がある場合は噛み合わせに問題がある可能性があります。

頭痛や顎の痛み

頭痛や顎の痛みがある場合は、それが噛み合わせの問題によるものかもしれません。

話す、咀嚼、くしゃみ、大きなあくび等で顎関節の痛みが生じる場合

咀嚼、あくびをするといった日常的な動きだけでなく、笑ったり、顔をしかめたりする動きも含まれます。

日常動作の中で痛みがある場合、噛み合わせの問題を示唆しています。

これらのチェックポイントに問題が見つかった場合、歯科医師の適切な評価と治療が必要です。

噛み合わせが悪い場合の治し方

噛み合わせが悪い場合の治し方を3つ紹介します。

  • 指しゃぶりや舌癖など悪習慣の改善
  • 矯正治療
  • 外科手術

指しゃぶりや舌癖など悪習慣の改善

一部の悪習慣、特に指しゃぶりや舌癖は、噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性があると結論づけられます。これらの習慣を改善することで、噛み合わせの問題を緩和または解消することが期待できます。

指しゃぶりや舌癖といった口の中の悪習慣は、顎の成長や歯の位置を変える力をもたらし、結果的に噛み合わせの悪さを引き起こす可能性があります。

特に、乳歯が生え変わる幼少期にこれらの習慣があると、新たに生えてくる永久歯の位置に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの習慣が長期にわたり続けられると、上下の顎の成長バランスを崩し、正常な噛み合わせを阻害することもあります。

そのため、悪習慣を認識し、適切な段階で改善することは、噛み合わせを正す重要な手段となります。具体的には、指しゃぶりを止めるための特別な手袋の使用や、舌の癖を治すための口腔筋肉トレーニングなどが考えられます。その他にも、歯科医師の指導の下で行われる矯正治療も、これらの習慣による噛み合わせの問題を改善する助けとなります。

矯正治療

噛み合わせが悪い場合、矯正治療はその問題を解決するための有効な手段であると言えます。これは、顎の位置や歯の配置を調整することで、正常な噛み合わせを取り戻す可能性があるからです。

矯正治療は、歯並びや顎の骨の位置を修正するために設計されています。矯正治療は一般的に長期間にわたる治療であり、歯や顎の骨を少しずつ動かすことで、理想的な位置に整えていきます。特に、顎の骨の位置が正しくない場合や、歯が適切な位置にない場合には、矯正治療が必要となることが多いです。

矯正治療を受けることで、顎の骨の位置が改善され、歯が互いに適切に噛み合うようになります。結果的に、噛み合わせの問題が改善され、食事をするときの不快感が減少し、さらには口腔内の健康状態も向上します。また、見た目の改善とともに、自己評価や社会生活の質も向上することが期待できます。したがって、噛み合わせの問題を解決するための適切な手段として、矯正治療が推奨されます。

外科手術

噛み合わせが悪い場合には、特定の状況下で外科手術が有効な治療法となる可能性があります。顎の骨の構造的な問題や成長の問題が原因となっている場合、非外科的な矯正治療だけでは十分な改善を期待できない場合があるからです。

噛み合わせの問題が顎の骨自体の形状、位置、成長に関連する問題に由来する場合、それらの問題を解決するためには外科手術が必要となることがあります。例えば、顎の骨が極端に大きすぎるか小さすぎる場合、不均等な成長が起きている場合、あるいは顎の骨が異常な位置に存在する場合などです。これらの状況では、顎の骨を直接手術によって再配置または再形成することで、噛み合わせの改善が可能になるのです。

外科手術は、その性質上リスクを伴う可能性がありますが、適切に計画し専門的な手術を行うことで、大きな改善を実現できる可能性があります。結果として、食事や話すことの際の不快感が軽減され、また、外観の改善を通じて自信を取り戻すことも可能になります。したがって、顎の骨の問題が噛み合わせを悪化させている場合、外科手術はその問題を解消するための適切な手段となり得るのです。

噛み合わせが悪い場合、自分で治せる?

噛み合わせが悪い場合に自分自身で治すことはできないというのが医学的な結論です。噛み合わせの問題は一般的に歯や顎の構造、位置、形状に関連しており、これらを自己判断で正しく調整することは非常に困難であり、専門的な知識と技術を必要とします。

噛み合わせの問題を解決するためには、まず的確な診断が必要で、この診断にはレントゲン写真の分析や、口腔内の詳細な観察が必要です。また、噛み合わせの改善には、矯正装置の使用や外科手術といった、専門的な医療行為が必要な場合があります。これらの治療法は、誤った手法で実施すると逆に症状を悪化させる可能性があるため、専門的な知識と技術を持つ歯科医師によって行われるべきです。

さらに、自分で矯正しようとする試みは、口腔内の他の領域にダメージを与えるリスクもあります。例えば、不適切な力を歯に加えることは、歯の損傷や歯周病の発症を引き起こす可能性があります。したがって、噛み合わせの問題は自己診断や自己治療の対象とはならず、適切な医療機関での診察と治療が必要です。

まとめ

噛み合わせの問題は、さまざまな不快な症状や全身的な健康問題を引き起こす可能性があります。

頭痛、肩こり、顎関節症、消化器系の問題など、これらは全て不適切な噛み合わせから派生する可能性があるのです。

そして、重要な点として、噛み合わせの問題は自己解決するものではなく、適切な専門的な治療が必要であることを理解していただけたかと思います。

健康な口元は全身の健康にも寄与します。だからこそ、日常生活の中で何か違和感を感じたら、早めに歯科医師に相談することをお勧めします。

口腔内の状態は全身の健康に直接的な影響を及ぼすため、適切なケアと注意が求められます。噛み合わせに関する知識を身につけることで、より健康な生活を送る一助となれば幸いです。

 

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日付:   カテゴリ:歯列矯正

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